世界経済フォーラムが発表した「2014年の10大トピック」のひとつに、「アジアでの中間層の拡大」が選ばれていることからも分かるように、アジアは未だかつて類を見なかったほどの繁栄へ近づいています。
今回は、シンガポールのメガバンクDBSが2013年6月に発表している"Southeast Asia's Growth Potential"というレポートを中心に、インドネシア、タイ、フィリピンでの中間層の勃興について取り上げます。
今回は、シンガポールのメガバンクDBSが2013年6月に発表している"Southeast Asia's Growth Potential"というレポートを中心に、インドネシア、タイ、フィリピンでの中間層の勃興について取り上げます。
中間層(middle-class)とは
実は"middle-class"の画一的な定義はないのですが、今回参照した資料の定義では、「自動車を所有している層」とされています。
2020年までに、インドネシア・タイ・フィリピン3国の中間層は2億人近くに
3か国だけで約4億人もの人口を抱えるインドネシア、タイ、そしてフィリピン。
2005年には4500万人だった3か国の中間層は、2012年には7800万人に増加。
さらに、2020年には2億人に限りなく近づくと予測されています。
その増加分のうち、インドネシアから大部分の8500万人、タイからは1700万人が、フィリピンからは1500万人が出現するとされています。
中流階級層の推移(単位は100万、 TH:タイ、PH:フィリピン、TH:タイ)[引用] |
インドネシアでは都市化もすすむ[JETRO] |
「中間層」という意識
[引用] |
インドネシアと韓国の2国間には国民1人当たりのGDPで約7倍の差があるにもかかわらず、自分の事を中間層だと自覚している割合は殆ど差がない。
タイでも、65%の人が中間層だという自覚を持っているとのデータ。
2020年、3国の合計GDPは2.4兆ドルに
現在インドネシア、フィリピン、タイのGDP合計額は1.5兆ドル。
これが、2020年には合計2.4兆ドルになるとの予測。(2012年時点の為替レートベース)
予測されている3国それぞれの成長は以下の通り。
これが、2020年には合計2.4兆ドルになるとの予測。(2012年時点の為替レートベース)
予測されている3国それぞれの成長は以下の通り。
- インドネシア:6000億ドル(2012年比62%増)
- タイ:1820億ドル(2012年比50%増)
- フィリピン:1580億ドル(2012年比63%増)
2020年までのGDP額推移(TH:タイ、PH:フィリピン、TH:タイ)[引用] |
1人あたりのGDPはタイが最も高く、それは今後も継伸。
2020年には1人あたりGDPが$7,800の上位中間層国家になる予測。
国民1人あたりのGDP推移(TH:タイ、PH:フィリピン、TH:タイ)[引用] |
3国の人口推移
※各グラフの左軸は、総人口に占める割合を示す。黒線(Dependency ratio)は労働人口に対する65歳以上の割合。
インドネシアはこの先順調に労働人口が増えていき、2020年頃から徐々にピークが見え始める模様。
インドネシア |
フィリピン |
タイはこの先数年の間に急速に高齢化がすすみ、高齢化社会の仲間入り。
2020年以降の労働人口の減少が経済発展を妨げるといわれる。
タイ |
長い貧困から抜け出し、市場経済の豊かさを享受すべく、車に乗り込みスマートフォンを所有し、ファッションにお金を消費していく ー そういったこれからの新中間層をいかに取り込んでいくかが東南アジアでのビジネスのカギになりそうです。
参考
- Southeast Asia's Growth Potential - DBS Bank[PDF]
- The Population of Southeast Asia - Asia Research Institute
- The Rise of Asian Middle Class
- 新中間層獲得戦略 ~ アジアを中心とした新興国とともに成長する日本 ~